保育のICTについて

ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」が進みつつある時代であり、この度の新型コロナウイルス感染症によって良くも悪くもDX化を加速させているのは間違いないと思う。

この変化は段階を経て社会に浸透し大きな影響を及ぼすこととなる。初期の段階ではインフラ、制度、組織、生産方法など従来の社会・経済システムに、AI、IoTなどのICTが導入される。そして次に、社会・経済システムはそれらICTを活用できるように変革される。さらに、ICTの能力を最大限に引き出すことのできる新たな社会・経済システムが誕生することになるだろう。

保育業界全体的に見てもまだまだDXは他業界に比べると遅れている。業務効率を上げるためにやれるところから変化をさせて行く事が大切と思われるが、何か新しい事をやる時に必ず「今のままがいい」変化を望まない勢力がそこに存在する。先行きが見えないので不安になり、人は安定を求める。そして、新しい方法がわからない恐怖がある。本園においても「オンライン保育」を行う事に対し、スタッフと検討を重ねた。推奨した私自身でさえもオンライン保育ってなんだ?となった。子供を愛情いっぱいの環境で一緒に成長し、泣いて、笑って、怒って、寝て、食べてを一緒に繰り返すことでお互いに人として必要な要素を身につける。オンラインで「本当の」保育が出来るわけがない。そう思ってもいた。

オンライン保育はZOOMを利用し、自粛中の保護者と園児を限定し週に3回、30分で行った。YouTubeやInstagramでの配信も検討したが、直接的なコミュニケーションが取れない事を鑑みるとそれはただの広告と感じた。ZOOMでオンライン保育を行った結果、画面越しに見る子ども達は嬉しそうだ。そして、提供しているスタッフも笑顔になる。保護者からの感想も上々だ。でも、これはあくまでも毎日、保育士たちが子ども達と積み重ねてきた信頼や人間関係があるからだろうと思う。そして、当園の保育に対して信頼をして頂いている保護者と本園の関係性もあるかと思う。

つまりは何が言いたいかと言うと、ICTの浸透はあくまでも業務効率の為と考えるべきであり、本当に必要な事、本当に大切なものはそこにはないと思う。以前、園長に保護者とのやり取りがある連絡帳をノートからアプリに切り替えたいと申し出た事がある。その時に園長が笑顔で言っていた一言がある。「自分の子どもの毎日の成長を保育士の先生と一緒にシェア出来る。そして、そのノートは今でも私の宝物であり、時々思い出して読み直すんです。」

データにしてしまえばボタン一つで消せてしまうものより、あえて、時間をかけて手間暇をかけるからこそ大切な事もある事を学んだ。
その時その時の時代の変化に合わせて、その時代に生きる当事者の価値観に併せてICTを浸透させて効率化を図ればいいかと思った。